1997.7.20
1997.7.20
−音楽の都 ウィーンへ−6月30日から7月8日まで、オーストリアへ行って来ました。オーストリアを訪れるのは4年ぶりです。ウィーンは3度目ですが、今までは1、2泊という短い滞在でしたので、今回はゆっくりと市内をまわることが出来ました。
私は好き勝手にのんびり歩くのが好きなので、特にウィーンのように古い歴史のある街は大好きです。中世の物語をモチーフした壁絵、上部が半円の形をしたお店の入り口のドア、趣向を凝らした窓枠のデザイン、背の高い張り出し窓と三角屋根、デザイン処理された木の看板、神話の世界を連想させる豊かな水量の噴水、西暦で記された建物の完成年、雨といの不気味な装飾、鎧戸と白いレースのカーテン、淡い光を放つシャンデリア・・・。目につく光景を心に焼きつけながら街を歩いていると、ついつい時間を忘れてしまいます。
毎年ヨーロッパに行っていても、最近はフランスとポーランドばかりだったので、久しぶりに違う国を訪れてみるとなかなか新鮮で、ドイツ語の響きも懐かしく感じられました。今では渡欧20回を超える私ですが、最初にヨーロッパを訪問した国はここオーストリアなのです。
ウィーンにて |
ウィーンという土地が私をいつになく緊張させましたが、それはフィリップにとっても同じようでした。95年の11月、ショパンコンクール入賞者による日本ツアー中にも感じた連帯感のようなものをお互い意識しながらも、結局ピアニストという職業は自分との戦いです。気持ちを奮い立たせて舞台への一歩を踏み出せば、あとはいつものようにショパンが私を助けてくれたのでした。
終演後は城内でパーティーがあり、一段と盛装した人々に囲まれて、なかなか日本ではできない体験をしました。次回は98年10月からのシーズンにウィーン市内で演奏させていただけそうです。今回はショパンプログラムでしたが、次回のリサイタルでは全部がショパンではなく、やはり古典の作品を半分入れることになるでしょう。
ワルシャワやパリでのリサイタルでも感じたことですが、やはり国によって好みがあり、また同じショパンでも微妙に味付け、好みが異なります。それはいろいろな国の主催者や先生方や聴衆との会話からもうかがえることですし、演奏している間に感じることでもあるのです。日本で演奏する際には、私は特にショパンにおいては、いかにポーランド的であるかを意識しています。それが今の日本で、ある会場で好まれるかどうかは分かりませんが、将来的には自分のオリジナリティに発展していければと思っています。
今回のウィーン旅行では懐かしのザルツブルグを訪れることができました。ザルツブルグはたった1日の日帰り旅行でしたが、私が2度の夏を9週間過ごした街に母と行けたのは良い思い出になりました。 ウィーン・ザルツブルグでは特にウィーン在住の小熊さんには大変お世話になりました。ピアノを貸して下さり非常に助かりました。また、ヤマハの根津さんにも色々なアドヴァイスを頂きました。今後の演奏活動に役立てたいと思っています。日本航空ウィーン支店には東京−ウィーンの航空券を手配下さり大変感謝しております。おかげさまで疲れることなく旅することが出来ました。
私にとって思い出深い国オーストリアで演奏することが出来て大変素晴らしい旅でした。来月はフランス・ポーランドへ旅立ちます。
1997年 7月20日
宮谷 理香
宮谷 理香